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ユーザビリティの専門知識に対する敬意を育てる

公開:2009年7月6日付 著者:ニールセン博士
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要約:

ユーザビリティの敵達は「専門家の意見が一致していない」という理由で主張し、ユーザを擁護する者の専門知識を難なく無視し、彼らが個人的に好きなデザインなら何であれ推進する。

よくある問題について、ある読者が私にアドバイスを求め、以下のようなメッセージを送ってきた:

対象分野の専門家と、彼らのコンテンツがウェブの読者のニーズにいかに合ってないかについて、職場で激しい口論をした後、今日、あなたの記事(デザインアドバイスの根拠としての、推測 vs. データ)を読みました。

私は小規模な州政府機関のウェブサイト管理者として、コンテンツの所有者の主観的な意見にいつもフラストレーションを感じています。彼らは私の提案を断固として拒否しつつ、私を非難するのです:

  • 「ああ、なるほどね。でもそのやり方は好きじゃないなぁ」
  • 「私ならそこをクリックしないと思うし、ユーザもきっとしないよ」
  • 「あぁ、ユーザはそれが何を意味しているかわかるよ。君がわからなくてもね」

私が自分の立場を支持するために、最近、あなたの記事を引用したときには、「どんな意見にもそれを支持する根拠は常にあるものだ」と言われてしまいました。データを見せたところで、彼らはみじんも影響されないようです。私が自分の意見を支持するデータを見つけたときも鬱陶しいと思われただけで、彼らの意見は変わりませんでした。

彼らのコンテンツに対する私の意見を信頼してくれる、ユーザビリティの専門家でない同僚を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。私がやっていることは専門的なもので、スキルセットであることをどうやって伝えればいいのでしょうか。ウェブコンテンツのストラテジストとして、同僚から尊重されるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。

悲しいことだが、こうした状況は政府機関だけのものではなく、たいていの大企業でも頻繁に起きている。ここではいくつかの異なる問題が進行中であり、各々に対して、それ専用の処方箋が必要である。

ユーザとプロジェクトメンバーの違い

ここでの第一の病は、コンテンツ所有者が根拠にしているのが自分の意見と好みであるということである。第一の治療は、ほぼあらゆる側面において、こうした対象分野の専門家がターゲット層を全く代表していないことを指摘することである:

以上の全ての理由により、コンテンツ所有者自身、何が好きだったり理解していたりするのかは重要ではない。本当のユーザの行動は彼らとは全く異なる場合が多いからである。

幸運なことに、これらのユーザとコンテンツ所有者の違いは、客観的であろうとする相手なら誰にでもかなり簡単に説明することができる。もっと良いことには、担当分野の専門家の知識が優れていることを大げさに言いながら、ユーザとの相違点を説明して、彼らを良い気分にさせることもできる。

信じない人を改心させる唯一の方法は見せること

コンテンツ所有者自身の嗜好をターゲット層に投影するのは不可能であることをうまく説得できた時点で、あなたには一つの問題が残される。それは、どうやってユーザビリティを判断するのか、というものである。

外部の調査を引用するのも悪くはないが、悲しいことに、あなた自身がユーザテストをしてみせること以上に説得力のある方法はない。たとえ、ある現象が外部の数多くの調査で確認されていたとしても、そのことを自分自身の目で確かめるまで信じない人は多いだろう。

あなたのウェブサイトのデザインがかなりシンプルで、そのテストでの調査結果のほぼ全てが既刊の文献にあることの繰り返しになろうとも、自分たち自身でユーザテストをすることを私がいつも勧める大きな理由の1つがこれである。百聞は一見に如かず、目にすれば、たいていの懐疑論者も自分のラボに熱心にやり方を変えさせようとするはずだ(そして、さらに重要なことには、そのサイトがうまくいくようにサイト自体を変えようとするだろう)。

これは、なぜ数回のユーザセッションを関係者全員に見てもらうために、あなたが全力を尽くさなければならないか(あるいは、少なくともなぜピザを振る舞わなければならないのか)という理由でもある。また、あなたは、彼らなしにはこの調査の結果を正確に解釈するのが難しいであろうことを説明して、もう少し相手をおだてることもできる(これ自体は嘘ではない。しかし、彼らを呼ぶ主な理由は、そうすることによって、彼らにこの調査での結果を信じさせることにある)。

シンプルなユーザ調査を行うのに費用はかからないし、何日かを使って、典型的なユーザ数人が彼らのやり方であなた方のコンテンツを試すのを観察することはほとんど常にやる価値がある。

信頼できるデータはどちらか

「どんな意見にもそれを支持する根拠は常にあるものだ」というのは真実ではあるが、だからといって、データを無視すべきではない。つまり、中には明らかに他のデータよりも優れたデータが存在しているからである。

どのように人々がウェブ上で記事を読むかについての主な事象は極めてよく実証されており、文字通り何百もの調査が過去12年に渡って、我々が初めて発見した結論を再生産している。

我々の全てのユーザビリティガイドラインにも同じことがあてはまる。ほとんどのガイドラインはよそでの独立した調査によって、その正当性が確認され続けている。ユーザビリティには秘密がないので、わざわざ調査をしようとする人なら誰でも同じことを発見するはずだ。そこでは単に観察することが重要だからである。

大部分のユーザビリティの根拠には強い一致が見られる一方、それでも、中には逸脱した結果が出てしまうこともある。わけのわかってない人はウェブをサーチして、偶然、そうした結果を見つけ出し、「専門家の意見が一致していない」などと声高に言ったりする。真実がどうであろうと、こうした逸脱した結果によって、ユーザビリティのデータを無視して、行き当たりばったりに進むことが許されるわけではない。

かわりにあなたがすべきことは、根拠の重み付けである。天秤の片方には、あらゆる国のあらゆる産業の専門家による何百もの調査結果が乗っている。それらは全て全体像で一致しており、しっかりした報告書で調査結果を裏づけていることが多い。天秤のもう片方には、ウェブ上で見つけられた逸脱している投稿がいくつか載っている(併せて、多くの推測もそこには載せられているが、先に論じたように、自分の理論を実際の人間でテストしないような物知りは無視すべきである)。このシンプルな重み付けはコンセンサスによって、通常、傾きが変化する。

逸脱したユーザビリティ上の結論は、一般に以下のどれかの要因によって引き起こされる:

完全に確立された知識に相反する完璧に新しいものを見つけ出した、と主張することには、本質的に大きな見返りがある。セミナーというものは、「秘密」、あるいは「全く新しくて、今までと異なる」結果を発表すると主張することで、売り上げが上がるものだ。我々が調査をするときも何か新しい発見があることを私がいつも期待していることは認めよう。なぜならばそういう結果が出れば、より儲かることを私は知っているからだ。しかし、年を追うごとに、ユーザビリティでの調査結果はかなり着実で安定したものとなっているし、私も収入を増やすよりは真実を伝えるほうが良いとは思っている。幸運なことに、高潔なユーザビリティの専門家は世界中に十分に存在しており、他の多くの調査報告も我々のものと類似している。

どちらのデータを信頼するべきかを判断する際には、そのデータが利益につながりそうかどうかを考えよう。例えば、広告代理店によって実施されるインターネット広告の効果の調査は、広告にいくらお金を使われていようが気にしない人々によって実施される調査に比べると、本質的に疑わしい。同様に、「新しくて異なる」ものからもたらされるものは、既存の知識を確認するような調査は本質的に信頼できる可能性が高い、ということである。

敬意を育てる

ここまでのところで、なぜ人々があなたのアドバイスに従うべきかに関し、あらゆる論理的な議論を展開してきた。しかしながら、ロジックが助けてくれるのはここまでだ。何かを決めるたびに、外部の研究データの雪崩の中に同僚を埋もれさせないようにするには、最終的に、あなたの専門的知識が彼らから尊重される必要がある。

尊敬の念は実績によってのみ作られるものである。コンテンツ所有者も、確立されたユーザビリティガイドラインに沿ってデザインされたウェブサイトに対するユーザの反応がどれだけ良いかを見れば、もっとあなたのことを尊重してくれるようになるだろう。悲しいことだが、これは鶏と卵の関係にある。あなたのアドバイスの価値は、それが実行に移されたときに限り証明されるからである。

これが、敬意を育てるのにある程度時間がかかる理由である。この状況を徐々に改善していくためには2つのやり方がある:

もしあなたに予算があるなら、同様に第3のアプローチが助けとなりうる:外部のコンサルタントを呼ぶか、あなたの同僚にユーザビリティセミナー(たとえば、我々の「ウェブユーザビリティの基本ガイドライン」セミナー)に出席するよう促すことだ。国際的に認知された権威があなたと同じことを言っているのを彼らが耳にすれば、今後、彼らがあなたの声に耳を傾ける見込みはより多くなる。

これは山登りのようなプロセスである。軽視されている状態から敬意を持たれるまでには一日では辿り着けないが、継続して良い仕事を行うことで徐々に尊敬の念を得ることはできる。このことは総じて、組織がユーザビリティについて成長していく過程とよく似ている。一歩一歩、着実に行こう。

2009 年 07 月 06 日


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