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3つ(あるいは5つ)のスクリーンに向けたトランスメディアデザイン

公開:2011年9月12日付(日本語版)、2011年8月29日付(原文) 著者:ニールセン博士
原文(英語):Transmedia Design for the 3 Screens (Make That 5)
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要約:

モバイルの利用は増加するが、デスクトップコンピューターの重要性は残る。その結果、企業は複数のプラットフォーム向けにデザインせざるをえず、視覚的なデザインや機能、ユーザーのデータ、口調での連続性が要求される。

いわゆる「ポストPC」の将来像で、モバイル機器が唯一の重要なユーザーインタフェースプラットフォームになるだろうと予測する人は多い。中にはモバイル用のウェブサイトをまずデザインし、その後、付け足しとして、デスクトップPC用にデザインを修正することを勧める人さえいる。

しかし、私はこれに反対である。

なにか新しいものが古いものに終止符を打つという主張は物語としては素敵なものになるだろうが、物事がそういうふうにうまくいくことは稀である。Peter Zollmanがかつて言ったように、「例外になりそうなのは街の触れ役(訳注: 昔、新しい規則や布告などを触れ回る係の役人)くらいで、新しいメディアが古いメディアを廃業に追い込んだということは一度もない」。テレビがあっても、ラジオも、ついでに言えば、生の劇場も残っている。コンピューター業界にはメインフレームがまだ残っており、IBMはそれによって毎年何十億ドルもの収入を得ているのである。

最近はコンピューターが安いため、主なニーズごとに、豊かな国では複数の機器を保有している人がほとんどである。もちろん、「コンピューター」の中には、PCだけでなく、タブレットや携帯電話、メインフレーム、サーバーも含んでいる。たいていの家が地下室にメインフレームを所有することがないのはわかりきっているが、写真やビデオのライブラリー用に家族でファイルサーバーを持っている家は多い。

(「デスクトップPC」の中には、WindowsやMacintosh、Linuxが当然含まれているが、もし、使いやすくなれば、例えば、webOSを走らせるデスクトップマシンのような新しいプラットフォームも将来、ここに入る可能性がある。同様に、ラップトップやミニタワーなども含まれている。なぜならば、物理的なサイズよりもユーザーエクスペリンスのほうが重要だからである。ラップトップは移動可能ではあるが、移動を前提としたモバイル機器ではない。したがって、私はそれをPCの亜種としてカウントしている)。

PCの重要性は残る

デスクトップPCにはモバイルに優っている点がもともと2つある:

大きな画面と大きな入力機器というのはデスクトップPCがもともと持っている強みである。モバイル機器はユーザーが持ち歩けるように小さくなければならないからだ。デスクトップPCには少なくとも次の10年は通用するだろう強みが他にも4つある:

回線容量やハードウェア、ソフトウェアの能力の高さというのは、デスクトップPCの一時的な強みに過ぎない。モバイルのほうが変化する速度が速いので、この分野でのユーザーからのニーズのほとんどを支援するのに十分なレベルにそのうち到達するだろうからだ。

しかしながら、インプットとアウトプットが優れているというのは、デスクトップのユーザーエクスペリエンスにとっては息の長い強みといえる。

私は画面のサイズに対しては頑固である。画面が大きければ大きいほど、ユーザーの生産性は大いに高くなるからである。30インチの画面を経験したことがある人は皆、それよりも小さい画面で大きな仕事をするということを考えるとうんざりするものだ。PCメーカーがさらに大きな画面を出さないことは私には驚きである。(300dpiのクリアな画質の40インチ画面が出たら、私は真っ先に手に入れようとするだろう)。

哀しいことに、Appleを除けば、PC製造業者は例外なくマーケティングや製品の差別化の能力に欠けている。「生産性を10%上げるために、500ドル余分に払ってこのマシンを買おう」とは誰も言わないのである。年間50,000ドル以上稼ぎ、毎日最低1時間以上コンピューターと過ごす従業員全員に1台ずつ買えば、それは企業にとってすばらしい投資になると言っているのだが。(先週、自分のところの従業員の1人に、彼女の出張中の生産性を上げるため、最上級機種のラップトップを買うのに余分に500ドル出すことを伝えた。しかし、Sonyのサイトのどこにもそのような文言は見つからなかったので、私は自分でそうした主張を作り出さねばならなかった)。

利用は小さな機器にシフト。しかし、デスクトップにもたくさんの価値が残る

IDCは今年のPCの販売が昨年比4%しか伸びないだろうと推定している。しかし、これは不況時の成熟した製品の成長率としては、それほどひどいのものではない。それでも、携帯電話やタブレットに利用の大部分がシフトするにつれ、将来的にデスクトップPCのシェアが下がっていくのは紛れもない事実だろう。

「撮る価値のある出来事が起きるとき、手元にあるカメラこそが最高のカメラである」とカメラマンは言う。これがポケットカメラや携帯電話のカメラになってしまうことは多いだろう。人々がプロ仕様のカメラを持ち歩くのは、写真を撮ることを計画しているときのみというのが一般的だからである。

同様に、何かしたいとき、手元にあるコンピューターこそが最高のコンピューターである。これが携帯電話やタブレットになってしまうことは多いだろう。私は家の周りではiPadを持ち歩いているので、ウェブで何かを調べたいときに手近にあるのはそれになる。例えば、私はiPadのOpenTableアプリを利用して、夕食の予約をよくする。そのアプリはデスクトップPCで見られるOpenTableのウェブサイトよりも垢抜けないが、PCのあるところまで1分かけて階段を上がるよりは、出来の悪いアプリのせいでインタラクションに余分にかかる20秒の負担を我慢するほうがましである。

このように、デスクトップから携帯電話やタブレットに大量の利用シフトが起きるだろうが、かなりの割合でデスクトップの利用も続くだろう。機器の種類ごとに正確な割合を出すのは難しいが、最も高い価値を生み出す利用の大部分がデスクトップに留まるであろうことはかなりはっきりしている。したがって、価値で分けた機器間での割合は、PCにとって良い結果になるだろう。時間で分けると、タブレットや携帯電話のほうに次第に割合が移っていくだろうが。

もちろん、ユーザーエクスペリエンスのプロジェクト全体にわたって出資金を配分するとき、重要なのは価値(すなわち、儲け)であって、時間ではない。

初期に実施した、2000年のモバイルユーザー調査以来、モバイル機器にとってのキラーアプリはひまつぶしになるものである。これが再び意味するのは、小さな機器の利用の大半が生み出す価値は、かなり低いものであるということだ。例えば、カジュアルゲームをしたり、ソーシャルネットワークの更新をチェックしたり、有名人のゴシップやその他一般のニュースを読んだり、断続的利用に向いたアプリを使ったりすることがそれにあたる。

そう、非常に成功したひまつぶしのアプリを提供したプロバイダーの中には、ごく少数ではあるがかなり儲けているところもある。例えば、Angry Birdsはダウンロードで3億ドル以上を売り上げている。しかし、これによってあの病みつきになる鳥達を飛ばすことに費やされた費用はユーザーの時間1時間あたり3セント程度である。同様に、有名人のゴシップはページビューあたり、おそらく0.02セントにあたるだろう。(よくわかっていないマーケティングマネージャーは誰も見ないバナーに現状、もっと払っているかもしれないが、一般的なコンテンツやトラフィックに対するCPMは実際の価値に合うように徐々に1ドルよりずっと下に落ちていく。宣伝費が永遠に無駄に費やされるということはないのである)。

もっと高い価値を生み出すモバイル利用もある。例えば、私がOpenTableのアプリで夕食の予約に費やした時間は、そのレストランにとっては115ドル、OpenTable自身には約1ドルの収入に置き換えられた。言ってみれば、1時間あたりにすると60ドル = 2,000 × Angry Birdsのプレイの価値、となる。

反対に、友達や家族にEメールをしているときのように、デスクトップ利用の多くにはほとんど商業的価値がない。それにもかかわらず、デスクトップの利用にはビジネス価値がかなり高いものがたくさんある:

つまり、モバイル機器の使用は劇的に増加するが、高い価値を生み出す使用の多くはデスクトップPCに残るだろう。ほとんどの企業は両方の種類の機器をサポートする必要がある。さらに、こうしたことは2種類のユーザーエクスペリエンスの異なった特性に焦点を当てた、別々のUIデザインによって行われる必要があるということがユーザビリティ調査ではわかっている。1種類のサイズのUIがすべてのサイズの画面に合うのではないのである

第3の画面: TV

モバイル機器とデスクトップPCに続いて、画面ベースのユーザーエクスペリエンスの3番目の大きなカテゴリーになるのがテレビである。ユーザーの時間にして、1時間あたり20セントから2ドルになるというのは割と価値が高い。(我が家では1人あたり1時間約2ドル、ケーブルテレビ会社に払っている。しかし、我々はたいていの家庭よりはかなりテレビを見ない。Amazon.comはStar Trekのエピソードをどれでも1ドル99セントで配信しているが、これも高いほうの値段になるのではないかと思う)。

私はモバイルとデスクトップのユーザビリティに焦点を絞っているが、それはTVベースのインタラクションデザインに携わる企業がほとんどないからである。リモコン無法地帯という記事で示したように、そのユーザビリティはたいていは酷いものである。しかしながら、KinectのジェスチャーUIで示したように、将来的には希望もある。

現在のところ、TVのためにデザインするというのは、主にエンターテイメント業界や家電業界の企業に関わる話である。しかし、もしインタラクティブTVのユーザビリティが大幅に向上すれば、このプラットフォームに対して注意を払う必要のある企業はもっと増えるだろう。その時点で、確かなことは1つである。すなわち、モバイルやデスクトップ両方のデザインとははっきり異なる、第3のUIをTVは必要とするだろう

第4、第5の画面: 極小、巨大

モバイルやデスクトップ、もしかするとさらにはTVのため、2つか3つの異なったUIをデザインするだけでは十分ではないかもしれないと言わんばかりに、考えなければならない極端なサイズの画面が2つある。つまり、本当に本当に小さいものと、本当に本当に大きいものである。繰り返すが、いずれもそれ固有のUIを必要とする。

極小画面に入るのは、たくさんの家庭用電化製品についている切手サイズのディスプレイである。最近では私の歯ブラシにすら画面が付いていたりする。定義をほんの少し拡大すると、埋め込みのRFIDチップやQRコードのついたアイテムによるユーザーエクスペリエンスも入れることができるだろう。

巨大画面には会議室サイズのディスプレイから始まり、スマートビルや、訪問者や患者を正しい建物や部屋に案内する病院のようなスマートキャンパスまでが入る。

今のところ、この極端な2つのサイズに関するユーザビリティ上の作業はあまり行われていない。しかし、固有の課題があるのは明らかである。そして、そこでの優れたUIが携帯電話やデスクトップPCのそれとは相当に違うものになる必要があるのは確実であろう。

トランスメディアのユーザーエクスペリエンス

ほとんどの企業が展開するUIデザインは、おそらく、モバイルとデスクトップ向けの2つのみになるだろうが、業界によっては3つか4つ、あるいは5つすべてを展開する必要もあるだろう。その数がいくつであれ、覚えておくべき重要なポイントは2つある:

プラットフォーム間でまとまりのあるユーザーエクスペリエンスを実現するためのガイドラインの網羅的なリストを提供できるほど、トランスメディアのユーザビリティに関する我々の経験はまだ十分ではない。しかし、以下の4つの論点を正しく理解することが不可欠であるということはよくわかっている:

結論を言えば、クロスプラットフォームなUIは違っているべきだが、似ていなければならない


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