ユーザビリティ評価手法
■評価手法の分類
ユービリティ評価手法は定量的手法と定性的手法に大きく分けることができます。定量的手法は複数のインターフェースを比較する場合に用いられます。定性的手法は、個々のインターフェースの具体的な問題点を発見するために用いられます。ユーザインターフェース開発プロセスでは、問題点の発見と改善を重視するので、定性的手法を多く用います。代表的な定性的手法としては「ヒューリスティック評価法」「ユーザテスト」が挙げられます。
複数のプロトタイプを作成して、その中から1つを選択する場合や、インターフェースを再設計した効果測定を行う場合には定量的手法を用います。定量的評価を行うには多くの被験者を必要とします。そのため、ヤコブ・ニールセンは「定量的ユーザビリティ調査の実施には、定性的調査の約4倍の費用がかかる」ので、限られた資源を有効に利用するためには定性的調査を行うべきであるとしています。
なお、ウェブサイトのユーザビリティについては、インターネットが持つ双方向性を活かして、アンケート調査法やアクセスログ解析でユーザビリティを評価する手法が開発されています。しかし、これらの手法では主観的な評価や、ページ遷移データしか取得できないので、問題が起きた原因を特定できません。あくまで、ユーザテスト等の定性的手法を補完する手法です。
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■アンケート調査
WAMMI
WAMMIはウェブサイトに対するユーザの主観的評価を測定することを目的に、Jurek KirakowskiとNigel Claridgeによって開発されました。KirakowskiはSUMIというソフトウェアのユーザビリティ評価スケールを開発したことでも有名です。
WAMMIでは5つの尺度でウェブサイトのユーザビリティを測定し、その5つの尺度にウェイトを付けて総合ユーザビリティを算出します。
具体的な質問紙や尺度の計算ロジックは非公開なので、WAMMIを使った評価を行うには開発元に調査・分析を依頼することになります。
WAMMIは英語をはじめ、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スウェーデン語など主なヨーロッパ言語に対応していますが、まだ日本語には翻訳されていません。
- WAMMI SCALES
- Attractiveness
- Controllability
- Efficiency
- Helpfulness
- Learnability
- Global Usability
なお、WAMMIとはWeb site Analysis and MeasureMent Inventoryの頭文字です。
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ウェブユーザビリティ評価スケール(WUS)
富士通とイードが共同で開発したウェブユーザビリティを定量的に評価するためのアンケート評価手法です。
ウェブユーザビリティに関する21項目の5段階評価質問を行い、その21項目の質問から生成される7つの評価因子でウェブサイトのユーザビリティを評価します。
- WUS評価因子
- 操作のわかりやすさ
- 構成のわかりやすさ
- 見やすさ
- 反応のよさ
- 好感度
- 内容の信頼性
- 役立ち感
ウェブユーザビリティ評価スケールとインターネットサーベイを組み合わせると、効率的な調査が行えます。WUSを使った調査手順は以下の通りです。
- 電子メールやバナーを使って、回答者に調査協力を依頼する。
- 回答者にタスク(課題)を提示し、評価対象ウェブサイトを実際に利用してもらう。
- タスク実行を確認するため、タスク完了確認質問を行う。
- WUSの質問21項目に回答してもらう。
- WUS評価因子得点を計算する。
<関連情報>
- (株)イード:ウェブユーザビリティ評価スケール(WUS)を使った、情報提供サイトの比較分析
■ヒューリスティック評価
ヒューリスティックとは「経験則」という意味です。ユーザビリティエンジニアやユーザインターフェースデザイナが、既知の経験則に照らし合わせてインターフェースを評価し、ユーザビリティ問題を明らかにする評価手法です。
被験者を必要としないので、短期間で実施できます。また初期のプロトタイプや、場合によっては仕様書レベルでも評価が行えるので、インターフェース開発の多くの場面で活用できます。
評価手順は以下の通りです。
- 使用するヒューリスティックを決める。
- 複数の評価者が個別に、ユーザインターフェースを評価し、問題点をリストアップする。(評価者は3名から5名が標準的。)
- ヒューリスティック評価者ミーティングを開催し、互いに評価結果を報告し合い、問題点を整理する。
ヒューリスティックとしては「ニールセンのユーザビリティ10原則」が有名です。
- システム状態の視認性を高める
- 実環境に合ったシステムを構築する
- ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える
- 一貫性と標準化を保持する
- エラーの発生を事前に防止する
- 記憶しなくても、見ればわかるようなデザインを行う
- 柔軟性と効率性を持たせる
- 最小限で美しいデザインを施す
- ユーザによるエラー認識、診断、回復をサポートする
- ヘルプとマニュアルを用意する
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■ユーザテスト(ユーザビリティテスト)
ユーザテストとは、被験者がタスク(課題)を実行する過程を観察し、被験者の行動、発話からユーザインターフェース上の問題点を発見する評価手法です。ユーザビリティテストとも言います。
ユーザテストでは、5人の被験者でユーザビリティ問題の85%を発見できることが明らかになっています。(Nielsen, Jakob, and Landauer, Thomas 1993)ユーザビリティを向上させるには、何十人も一度にテストするよりも、5人程度の小規模なユーザテストを繰り返した方が効果があります。
ユーザテストを実施するには、ユーザビリティ・ラボ、モニター、ユーザビリティ・エンジニアが必要です。
- ユーザビリティ・ラボ
- マジックミラーで仕切られ、防音を施された専用室です。マジックミラーを通して被験者の行動や発言を観察することができます。また、被験者の行動や発言を撮影・記録するためのビデオ設備も完備しています。なお、ウェブユーザビリティのテストでは、インターネット接続環境も必要となります。
- モニター
- テストに協力してくれる被験者データベースです。ユーザテストでは、想定ユーザと同じ属性(性・年代・パソコン習熟度など)を持った被験者に協力してもらわなければなりません。適切な被験者を抽出するには、かなりの数のモニターを管理する必要があります。
- ユーザビリティ・エンジニア
- ユーザビリティ・エンジニアはテストを設計し、インタビューを行い、データを分析します。ユーザビリティ・エンジニアは単にユーザテストを担当するだけでなく、他の技術者やデザイナと協力して、ユーザインターフェースの改良にあたります。
正規のユーザテストではなく、簡易型のユーザテストでも、おおよその問題点は発見できます。ユーザビリティ・ラボの代わりに会議室を、モニターの代わりに知人や同僚を、ユーザビリティ・エンジニアの代わりに開発チームメンバーを用いれば、コストを大幅に削減できます。
ユーザテストの基本フローは以下の通りです。
- イントロダクション
- 事前インタビュー
- タスク実行観察
- 被験者にタスク(課題)を提示し、その実行過程を観察しながら、適宜インタビューを行う。
- 事後インタビュー
- エンディング
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