ニールセン博士のAlertbox

インターネットクライアントのデザインにようやく進歩が

公開:2000年4月30日付 著者:ニールセン博士

この7年間というもの、クライアントソフトウェアには何の進歩もなかった。1993年にMosaicがウェブの特徴を決定付けて以降、ページのレイアウトが派手になっただけで、ユーザインターフェイスは少しもよくなっていない。

このお寒い状況にも、ついに変化が現れてきた。最近出てきたいくつかのソフトウェア製品では、特定の利用目的に特化したよりよいユーザインターフェイスを備えた専用アプリケーションを導入している。

Napster: N対Nのインタラクション

だが、さらに重要なのは、Napsterがインターネットがもともと持っていたネットワーク的イデオロギーの復活の一例でもあるということだ。インターネットとは、そもそも多対多の環境だったはずで、これに比べると、ウェブは、もっぱら一対一の環境であるという点で後退してしまっている。たいていのウェブサイトは、一度にひとりのユーザに自分たちのものを閲覧させているに過ぎない。(そう、私がやっているのもまさにこれだ-このコラムそのものが、ウェブの伝統的利用法の典型的な例である)これまでに多対多をやって成功している例は少なく、eBayなどはむしろ例外だ。

Napsterは数多くのユーザを数多くのサーバに結びつけ、基本的に、インターネット全体を音楽(あるいは、可能性としてはその他のコンテンツやサービスでもよい)獲得のための集合的リソースであるかのようにユーザに提示してくれる。同時に、Napsterは、ユーザがこのリソースを豊かにするために貢献するよう奨励し、彼ら自身が所有している音楽コレクションを、全体の中の一部として利用できるようにもしている。このように、Napsterは、インターネットにおける双方向ユーザインターフェイスの一例でもあるのだ。

Macintosh版Internet Explorer 5: ユーザに主導権を

私は、Microsoftと、彼らのユーザビリティの欠如に関して、時につらくあたってきた。例えば、1997年には、ウェブナビゲーションという観点から見ると、IE 4とNetscape 4はMosaic(1993年産)と大差ないと書いたりしている。公正を旨とする私は、彼らが正しいことをやった時にはMicrosoftを誉めることもやぶさかではない。Macintosh版のIE 5は、まさにこれに値する

IE5/Mac版でひとつよくないところ:ツールバーのボタンの色を、ユーザがカスタマイズできるようになっている。これは、色を伝達要素として利用する可能性をつぶしてしまい、ユーザインターフェイスの質を低下させる軽薄な機能だ。IE5/Mac版のボタンは、モノクロだってよかったはずだ。ユーザがアイコンの色を好きなように変えられるようにデザインしなくてはならないのだから。

Composite screen shot of IE 5 toolbar in Grape, Lime, and Strawberry colors

フルーティなカラーで染め上げたIE5/Mac版のツールバー(3種類のプレファレンス設定で構成)

OK、Microsoft、われわれ庶民のためのすばらしい機能を出荷するのは今だ。でも、Windows版IEの色の設定のことは、きれいさっぱり忘れてほしい。

Yahoo FinanceVision: ウェブに統合されたマルチメディア

私は、相変わらずウェブ上でのビデオの使用は時期尚早だと、大筋では考えている。2004年あたりまでは、ほとんどのユーザが十分な帯域幅を持てるようにはならないだろう。

しかし、そろそろウェブ上で、本当のマルチメディア利用に向けた実験を始める時期だ。従来のテレビ放送をユーザに向けてストリーミングするだけでは不十分だ。ウェブユーザにとって、ただ受動的に見るだけなどという体験は、ただ退屈なだけだ。彼らは、自分たちが主導権を持つことに慣れている。

本物のマルチメディアを目指すなら、複数のメディアを統合する必要がある。単体のメディア(例えばビデオ)では不十分だ。

Yahoo FinanceVisionは、ビデオとウェブでの体験をひとつに統合しようという試みとしては、初期段階のものである。FinanceVisionには興味ある点が2つある。

Yahoo FinanceVisionアプリケーションウィンドウのスクリーンショット

インターネットにふさわしいビデオ作りになっている点に注意:

スクリーンショットにも見られるように、ユーザが操作エリア、もしくは生データ配信(下部左)に現れるリンクをクリックすると、FinanceVisionウィンドウの右下エリアにウェブ情報が表示される。ユーザがよほど大きな画面を使っていない限り、このせまいエリアに表示されるウェブページは、かなり見苦しいものになるだろう。もちろん、将来的には大画面も珍しくなくなるだろうが。

FinanceVisionの重要なところは、異なった形態のメディア(ビデオ、データ配信、操作、フィードバック、ウェブページ)を複数の仕切りで統合し、配置した点にある。

FinanceVisionは、ビデオとウェブを統合しようという試みのほんの端緒でしかない。ビデオウィンドウで放送が続いている最中に、並行してウェブページを読もうとすると、ちょっと混乱してしまう。将来のバージョンでは、個人用ビデオサーバの教訓を生かして、「静止」ボタンを用意するべきだ。こうすれば、届いてくるビデオをハードディスクに保存でき、その間、ウェブコンテンツにユーザが集中できるようになる。

ビデオエリアと操作エリアが、視覚的にほとんどかみ合っていないのも気になる。司会者は、ほかのエリアの中のどこをクリックすればいいのか、どの質問に答えればいいのか(時には、個人的に電子メールで質問することもある、と司会者のひとりは語ってくれた)、簡単に指示できるようになっていていいはずだ。気の利いたアニメーションを使えば、ビデオ司会者が調査を中断して、操作フィールドに引き渡してしまうことだってできるだろう。1997年2月の私のコラムテレビとウェブの出会いでは、ビデオの中でもっとうまくウェブコンテンツを活用するためのひとつの試案を視覚的に展開してある。統合化のために、半透明のオーバーレイを使うのも一法だろう。

2000年4月30日


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