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どんなユーザエクスペリエンス調査メソッドをいつ使用すべきか

公開:2008年10月6日付 著者:ニールセン博士
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要約:

今日のユーザエクスペリエンス調査メソッドは、広範囲に渡る疑問に答えることができる。それぞれのメソッドをいつ使用すべきかを知るには、キーとなる3つの基準と、典型的なプロダクト開発フェーズを通してマッピングを行うと良いだろう。

Christian Rohrerによる寄稿

ユーザエクスペリエンスの領域は、幸か不幸か、非常に幅広い調査メソッドに恵まれている。ラボベースのユーザビリティスタディのような実証済みのメソッドから、より最近開発された、デザイアラビリティスタディ(美的な魅力を計測する)のようなメソッドまで様々だ。

すべてのプロジェクトに対して、こうしたメソッドをフルセットで使用する訳にはいかないが、複数の調査メソッドに対する見識を持っておくことで、ほとんどのデザイン・チームが恩恵を受けるはずだ。主要な問題は、どれをいつ、ということだろう。いずれの手法をいつ使用すべきかをより深く理解するためには、これらの調査メソッドが3つの基準により分類できることを確認すると分かりやすい:

以下のチャートは、いくつかの一般的なメソッドが、これらの基準のどこに位置するかを図示したものだ:

データソース、アプローチ、製品の利用状況による調査手法の分類図

それぞれの基準により、それぞれが回答する疑問と最適な目的という観点から、研究ごとの特徴を理解することができる。

態度対行動という基準

態度と行動の違いは、「何を言うか」と「何をするか」の違い(かなり異なることが多い)、とまとめることができるだろう。態度を見る調査の目的は通常、人々が標榜している信条の変化を理解、吟味、あるいは知らせることにある。態度を見る調査がマーケティング部門で多用されている所以である。

ほとんどのユーザビリティスタディが、行動に拠り所を求めてはいるものの、自己申告による情報が非常に有用であるケースも少なくない。たとえばカードソーティングは、ある情報空間に関するユーザのメンタルモデルについて深い理解が可能になり、自分たちのサイトにとって最良の情報アーキテクチャを決定する手助けとなる。アンケートは態度を計測するか、サイトに関する重要な問題を調査、もしくは発見する役に立つデータを収集する。様々な理由により、目的がユーザビリティの場合、フォーカスグループの有用度は低下する傾向がある

この基準の他端には、主として行動にフォーカスするメソッドが位置しているが、これは通常、メソッド自身からの影響は最小限の状態で「人々が何をするか」を理解しようとするものだ。比較テストは、サイトデザインの効果を行動から判断するため、サイトのデザインのみを変更するが、他のコンテンツはすべてそのままにしておく。他方で、目線の動きによってユーザがどのようにインタフェースデザインと視覚的にインタラクトするのかを知ろうとする。

これら2種類の方法の間には、我々が使用する最も一般的なメソッドが2種類ある:すなわちユーザビリティスタディとフィールドスタディだ。これらは自己申告と行動のデータの双方を利用し、態度と行動のいずれかを重視することができるが、一般的には行動に重きを置くことが推奨されている。

質対量という基準

この基準の基本的な分類は以下の通り。質的スタディではデータは通常直接集められ、他方の量的スタディではアンケートやウェブ・サーバ・ログなどのツールを使用して間接的に収集される。フィールドスタディとユーザビリティスタディにおいては、たとえば、リサーチャーは直接、人々が自分たちのニーズを満たすため、どのようにテクノロジを使用するか(あるいはしないか)を観察する。これによりリサーチャーは、質問したり、行動を深く観察したり、時には調査の目的によりフィットするよう、研究手順を修正するといったことが可能になるのである。データの分析は通常、数学的ではない。

これとは対照的に、量的メソッドでは数学的解析により理解を深めるのが典型的なパターンだ。何故ならデータを収集する手段(たとえばアンケートツールあるいはウェブ・サーバ・ログ)は、数値的にコード化された大量のデータをキャプチャするからである。

このような本質的な違いにより、質的メソッドは、何故問題が起こり、どのようにフィックスすべきなのかという疑問に回答するのにより適しており、量的メソッドはどれくらいの数の、あるいはどんな種類のといった疑問に対する回答を得るのにより適していると言える。以下のチャートは、以上2種類の基準がいかに問うべき質問の種類に影響を及ぼすかを示している:

データソースとアプローチに基づく、問うべき質問の種類を表す図

プロダクト使用という観点による基準

3つめの分類は、その調査の参加者がウェブサイトを使用するのか、プロダクトを使用するのか、ということに関係している。これは以下のように説明できるだろう:

プロダクトの自然な使用を研究する際、そのゴールは、可能な限り現実に近い行動や態度を理解するため、研究からの影響は最小限にとどめることにある。観察には必ず多少の偏りが見られるものの、民族学の分野では多くの研究がこのような手法をとっている。インターセプトアンケートおよびデータマイニング・分析のテクニックは、このタイプの量的な例だ。

決められた手順でプロダクトを使用する手法は、再設計を行ったフロー上でなど、非常に限定された方法での観察にフォーカスするために用いられる。手順を準備する度合いは、その研究の目的次第でかなり多様に設定することができる。たとえば、ベンチマーク研究は通常、非常にタイトに手順を決めておく。そうすることで信頼性の高いユーザビリティ・メトリクスを得ることができるためだ。

プロダクトを使用しない研究は、使用法やユーザビリティよりも広範な問題を吟味する、たとえばブランドやより大きな文化的態度の研究などのために実行される。

これらのメソッドを組み合わせたハイブリッド法は、目標を達成するため、プロダクトを使用する際にクリエイティブな方法を利用する。たとえば参加型デザインでは、ユーザはデザイン要素とインタラクトし、再構成することができ、どうして特定の選択を行ったのかについて話し合うことができる。

チャートにあるほとんどのメソッドは、一つかそれ以上の基準の度合いを強めることができる。実際、複数の目的を満たしたい場合などには、同一の研究内でそうするケースもある。たとえば、フィールドスタディは、人々が何を言うか(民族学的なインタビュー)、あるいは彼らが何をするか(広範な観察)にフォーカスすることができる。デザイアラビリティスタディとカードソーティングには、質的バージョン、量的バージョンの両方があるし、目の動きの研究は、決められた手順でも、手順を決めないやり方でも行える。

プロダクト開発のフェーズ(時間を軸に考える)

様々なリサーチ手法の中から選択を行う際に重要となるもう一つの分類は、プロダクト開発のフェーズとその目的である。

  1. 戦略を練る:製品開発の最初のフェーズでは、新しいアイディアや今後のチャンスについて考えるのが一般的だ。このフェーズでのリサーチメソッドには、非常に多様な可能性がある。
  2. 最適化する:このフェーズは選択したデザインの方向を引き続き改善する時期であり、最終的に「決行か中止か」の決断を行うポイントに到達する。このフェーズでのリサーチは主として形式的なもので、制作のリスクを軽減する役に立つ。
  3. 評価する:ある時点で、ウェブサイトもしくはプロダクトが、十分なユーザにより使用できるようになり、どの程度上手く言っているかを計測開始することができる。

以下の表は、これらのゴールをまとめており、典型的な調査アプローチとそれぞれに関連するメソッドをリストアップしている:

プロダクト開発のフェーズ
戦略を練る 最適化する 評価する
ゴール 新しい方向および機会を示唆し、調査し、選択する リスクを軽減し、ユーザビリティを改善するため、デザインを提示し最適化する プロダクトのパフォーマンスを、それ自身あるいは競合プロダクトと比較する
アプローチ 質的・量的 主として質的(形成的) 主として量的(累積的)
典型的なメソッド 民族学的なフィールドスタディ、フォーカスグループ、日誌研究、アンケート、データマイニング、データ分析 カードソーティング、フィールドスタディ、参加型デザイン、ペーパー・プロトタイプおよびユーザビリティスタディ、デザイアラビリティスタディ、顧客の電子メール ユーザビリティ・ベンチマーク、オンライン・アセスメント、アンケート、比較テスト

技術か科学か?

多くのユーザエクスペリエンス調査メソッドが、科学的なプラクティスにその基礎を置いているが、これらの目的は完全に科学的なものではなく、投資家のニーズを満たすよう調節する必要がある。ここでのメソッドの特徴付けが、厳密な分類というよりはむしろ、一般的なガイドラインとなっているのはそのためだ。

結局のところ、こうした調査の成功は、対象となるウェブサイトあるいはプロダクトのユーザエクスペリエンスの改善に、その調査がどれだけ影響を与えるかによって測られることになる。今回の分類は、なすべきときに最良の選択をする役に立つはずだ。

2008 年 10 月 6 日


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