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2011年 イントラネット・ベスト10

公開:2011年3月9日付(日本語版)、2011年1月4日付(原文) 著者:ニールセン博士
原文(英語):10 Best Intranets of 2011
分類キーワード:

要約:

シンプルになり、より利用されるようになった機能のおかげで、ナレッジマネジメントは決まり文句の段階から現実の段階に移った。モバイル用のイントラネットは前回に比べて倍増した。

2011年の優れたデザインのイントラネット、ベスト10は以下の通り:

今年度は再受賞企業が2社あった。Credit Suisseは以前、2002年に、Verizon Communicationsは2005年に受賞している。これらの企業はWalmart (2002年2010年)とCisco Systems (2001年2005年)のような複数回受賞企業グループの仲間入りを果たした。他にも、Deloitte Touche Tohmatsuはオーストラリアのメンバー会社のイントラネットで2002年に、その後、国際的規模のイントラネットで2009年に受賞している。

(これを読んで、複数回受賞の企業がたくさんあるなぁと思うかもしれない。しかし、今回でIntranet Design Annual (:イントラネットデザインについての年次レポート)の発行は11回目になるため、過去の受賞企業の総数は全部で110ある。したがって、2回受賞した企業5社の占める比率は全体の4.5%に過ぎない。よって、こうした少数の企業はエリート中のエリートと考えられる)。

今年度の受賞サイトには専門サイトが2つ含まれている。Mota-Engilの受賞サイトはInnovCenterであるが、そのサイトの目的は革新的なアイデアを創造し、実行することにある。そして、Heinekenの受賞サイトBrandPortalは、世界各地のマーケティング及びブランド資産を共有するために利用されている。

今回のIntranet Design Annual の受賞企業はこれまでで一番国際的で、8カ国の企業から構成され、そこには韓国とポルトガルからの初めての受賞も含まれている。

昨年度はヨーロッパのイントラネットと金融部門のイントラネットの成績が振るわなかった。しかし、ヨーロッパは今年、受賞企業の40%を占め、間違いなく力強い復活を果たした。また、金融サービス業の優秀なイントラネットを再び目にすることができたのも嬉しいことである。

小規模な企業のイントラネットの質も向上している

これまでのベスト10には常に小規模の企業が入っていたが、今年もその例外ではなく、Bennett Jones(従業員925人)のような企業が受賞をしている。

今年受賞した組織の平均的規模は従業員数でいうと37,900人である。この数字は過去2年の平均従業員数37,500人(2009年)と39,100人(2010年。但し、140万人もの店員を抱えるWalmartは外れ値として除外している)に非常に近い。従業員数が平均76,250人だった2005年から2008年の受賞企業に比べ、最近の受賞企業は平均すると規模が半分以下になってきている。

37,900人という従業員を抱える組織が小さくないことは確かである。しかし、最近の受賞企業の規模が過去の受賞企業の半分である、という事実は非常に大きな変化といえる。では、どのようにして、より規模の小さい企業が、イントラネットのデザインでここまで成功することができたのだろうか。イントラネットへの投資額が増えたことによる影響もあるだろうし(チームサイズについての以下の考察を参照)、イントラネット構築のためのツールが良くなった結果でもあるだろう。実装作業が容易になればなるほど、デザインやユーザビリティに利用できるリソースは多くなる。このことはより小規模の組織にとっては、特に重要だ。彼らは過去、古くさい技術を使いながらも、なんとか物事をうまく進めようと苦労してきたからである。

今年の受賞企業のイントラネット開発チームの人数は、平均14人だった(去年と同じ)。この人数は10年前の受賞イントラネット開発チームの約2倍である。当時の受賞企業は今年のそれに比べて規模の大きいところばかりだったが。

気をつけなければいけないとわかったことに、受賞企業の多くが、デザイン変更のプロジェクトでは、自社のイントラネット開発チームの代わりに、デザイン会社やコンサルタントのような外部リソースを使っている、というのがある。このことは理には叶っているが、イントラネット公開後にスタッフが削減されるという危険も伴っている。継続的なデザインの進化、そして、検索品質のイニシアチブ、一貫性、スタイルガイドの実施や新しいコンテンツ担当者へのトレーニングといった事柄の両方に対して、良好な長期的ユーザビリティを保つには、スタッフが関与し続けることが必要とされるからである。

モバイルイントラネット

昨年は受賞したイントラネットの30%にモバイル版があったが、今年は受賞イントラネットの60%にモバイル用イントラネットが用意されていた。1年での倍増は、モバイル機器からのアクセスが今現在の大きなトレンドであるということを確実に示している。

モバイル用ウェブサイトのモバイル機器上でのテストでは、機能を減らしたサイトのほうが、完全版のウェブサイトより、ずっとユーザビリティに優れているということが明らかにされている。今年の受賞企業のモバイル用イントラネットはこうしたアドバイスに従い、小さな画面上にイントラネット全体をぎゅっと押し込めようとはせず、外出中の従業員にとって重要な特定のものに、機能を絞っていた。

モバイル用イントラネットとモバイル用ウェブサイトの大きな違いの1つに、イントラネットの開発チームは、会社支給のモバイル機器という比較的小規模なグループに合わせて、開発を最適化できる、というのがある。その結果としては、イントラネットではウェブサイトに比べ、Blackberryに対するサポートが手厚くなっている。

ナレッジマネジメント

決まり文句というレベルを超え、使い古され、濫用され、持ち上げられている言葉があるとすれば、それこそが「ナレッジマネジメント」である。したがって、今年度の受賞企業の多くがイントラネット上で上手に「ナレッジをマネジメント」していたと言ってしまっていいだろう。企業にソーシャルネットワーキングがなじんでいるということは既にわかっているが、そこではデザイナーはこのようなツールのインターネット全体における弱点の多くを回避できている。今年の受賞企業は以下の6つの分野で特に強力な解決策を持っていた:

従業員というのは、究極のナレッジリソースである。そこで、受賞イントラネットの多くが、ユーザーの行動を管理可能なナレッジに変換する機能を用意していた。上述の通り、企業はイントラネットのページに対するシンプルなレーティングシステムを作り出すため、利用頻度を活用していた。他にも、Heinekenの検索結果ページは興味深いアイデアである。そこでは似たような検索をしたことのある従業員、つまり、似たような問題に取り組んでいる可能性のある従業員がリスト化される。もしそれがGoogle上で行なわれれば、こうした機能はプライバシーの侵害として抗議の対象となるだろう。しかし、企業の中では、これは従業員がナレッジを共有することの助けになるもう1つの手段に過ぎない。

ナレッジマネジメントではなく、一般的なソーシャル機能のエリアで顕著なことではあるが、受賞企業の何社かは、従業員がビデオによるコンテンツを制作し、共有することを可能にする機能を提供していた。このことはここ数年注目してきた、イントラネット上でビデオの利用が増加しているというトレンドの進んだ形である。

継続しているトレンド

今回も、今年度の受賞イントラネットにおいて、以前のDesign Annual で見られた重要な発見の多くを目にすることができた。とはいえ、前回からの大きな変化として、ユーザビリティはさらに向上している。デザイナーが以前の受賞者から得られる教訓を活かしているからである。

他にも、いくつかのイントラネットが、最近まで一般のインターネット上では新出のデザインパターンと見なされていた、メガメニューや検索サジェストを利用していたことは注目される。イントラネット上の大きな違いとは、そうした機能をその組織特有の環境に対応させることが可能なことにある。例えば、「vacation(:休暇)」という単語を打ち込み始めたユーザーには、もし「paid leave(:有給休暇)」という用語がその会社の人事ハンドブックで使われていれば、それをクエリー例として表示することが可能である。

ROI

これまでと同様、イントラネットのデザインが向上すれば、投資に対するリターンは大きいと思われる。しかし、そのことは、今までは、ケーススタディから得られる、ユーザーの満足や新機能の大量利用、技術サポートにかかってくる電話の減少、といったエピソード的な証拠によって主に裏付けられてきた。もちろん、以前より 利用が増加したにもかかわらず、サポートコールが減る ことになれば、それはユーザビリティが向上しているからだと考えて間違いはない。また、ユーザビリティに取り組むことによる、直接的な金銭上の利益として、サポート費用が減るという主張も合理的なものである。(そして覚えておいてほしい。サポート費用には、コールセンターの経費だけではなく、ユーザーが助けを得ようとしている間の時間及び、電話をかけようと決意する前にその問題に四苦八苦している間の時間の両方がコストとしてかかってくる。こうしたサポートにかかわる費用の全てが貧弱なユーザビリティの代償なのである)。

ROIの印象的な指標が今年度の受賞企業からは見つかっている。例えば、AMPのイントラネットでは検索機能の改善後、検索の利用率が300%増加した。ユーザーが貧弱な検索機能をさっさと見捨てることはわかっているので、このことからは、その新しい検索システムによって、必要な情報が得られやすくなったということがよくわかる。検索の利用率が300%向上したというのは飛躍的な伸びと言えるが、開発チームが重要な機能の改善に本当に集中すれば、その数字はユーザビリティのROIの歴史における未曾有の成長度というわけではない。

利用の減少もまた、良質なROIの指標になりうる。例えば、Habitat for Humanityでは、改良したデザインの公開後、「…はどこで見つけられますか」という質問が60%、減少した。このことから、ユーザーが自分の必要なコンテンツを手に入れやすくなったことが明らかである。

ROIはかなり間接的なものになることもある。Bennett Jonesの場合、イントラネットの改良は、ナレッジマネジメントの有用性を上げることによって行われたが、その直接的なメリットとして、弁護士達の業務成績を向上させるのに一役買っている。しかし、間接的なメリットが営業や採用といった様々な分野でも生じている。例えば、見込み客は法律事務所に対して、報酬請求可能時間を抑制するため、どのような効率化のための技術を使っているかの証拠を示してほしいと考えているし、有望なロースクール卒業生はその法律事務所で期待できる技術サポートのレベルについて、リクルーターに質問をするものだからである。

フルレポート

2011年の10の受賞団体の218枚のスクリーンショットを含む、433ページのIntranet Design Annualがダウンロード可能である。


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